Comments by Dr Marks

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今週のニューズウィーク(March 15)教育特集:教師の終身雇用の是非

今まで高等教育機関テニュアの話題に終始していたが、小学校から高等学校までの教師は、アメリカ全体で言えば、もっとも身分が保証されている職業といっても過言ではない。普通、2−3年の仮雇いの後は実質終身雇用のようなものであった。しかし、5年ほど雇用してみてろくな教師でなければ首にするべきだろう。しかし、昨今厳しくなったカリフォルニアでさえそうだが、アメリカ全体でみれば、千人のうち1人くらいが勤務不良で首になる程度というのが実情だ。

統計上の話ではないが、アメリカの上層と下層の教育格差より、どのような教師に習ったかのほうが子供たちの将来に大きな違いを生み出しているとの意見もある。ひょっとしたらそうかもしれない。アメリカの高等教育のレベルが低くないように、多くの教師のレベルも決して低くはないと思う。しかし、アメリカの場合、職員室のようなものはほんの申し訳程度で、朝出勤して自分の教室に入ったら午後帰宅するまで他の同僚と顔も会わさないこともありえ、意識して教師を監督しなければ教室内で何をしているかさえわからないことがある。

アメリカでは、教師が自分の教室に座ったままで教え、生徒のほうが教科が変わるごとにそれぞれの先生の教室におもむくからだ。そのように教師を放置しておいて、何らかの統一試験などの結果、とんでもない無能教師であることが発覚したりする。しかし、監督する側は何もしない、何もできない。教職員組合が怖いとなる。いや、これは日本のことではない。アメリカのことだ。