Comments by Dr Marks

出典を「Comments by Dr Marks」と表示する限り自由に引用できます

Hoax(悪ふざけ)を検証するサイト:ユダヤ人の子供2500人を救ったといわれるポーランドの女の話は本当か嘘か


Eルーマーズ・ネットというサイトがある(http://erumors.net/)ネット上の噂が本当か嘘かを検証してくれる。ご苦労様。そこで取り上げられた女性の話は20世紀の終りまであまり有名でなかったので悪ふざけと思われていたが、これは本当の話だった(http://bit.ly/9ZDl1g)。なにしろ実際に助けられたユダヤ人がたくさんいるのだから。

13日の金曜日が本当はキリスト教とは関係がなく単なる都市伝説にすぎないことは周知されてきたが、聖書学関連での Hoax 騒ぎは結構あって、コロンビア大学の故モートン・スミス教授発見の『秘密のマルコ伝(Secret Gospel of Mark)』などは最も有名なものであろう。しかし、数年前も学会で一座を設けたが、 Hoax かどうかの決着は付いていない。やや Hoax 説が優勢というところだろうか。(なお、余が本家のブログで日本語に訳しているので読みたい人はどうぞ→http://bit.ly/bXAyEU 引用の場合は Mark Waterman 訳と。)

この女性の名は、一般にはイレーナ・ゼンドラー(Irena Sendler)として知られている。2007年にアル・ゴアの馬鹿野郎とノーベル平和賞を競ったが馬鹿野郎に賞は取られてしまった。そういった話は日本語版ウィキペディアにもあるようだ(http://bit.ly/beWNc3)。カトリック教徒の(村上陽一郎みたいなアフォではないから余は「カトリック教徒」という言葉を使う、念のため)両親の許(父は医師)ユダヤ人にも差別なく接するように育てられた。

当時結婚していたドイツ系の夫のお陰でナチのユダヤ人撲滅計画を知ったイレーナは、ゲットーの上下水道作業員として出入りし、ユダヤ人の親を説得し子供たちだけでも連れ出して助けようとした。大きな道具入れや自分のスカートの中にまで子供たちを隠して連れ出し、偽名の身分証明書を偽造して内外のカトリック施設などに送り込んで総計 2500 人を救ったといわれる。彼女は偽名と本名、更に親との関係がわかるようにメモしたものを庭のリンゴの木の下に埋めておいた。彼女自身も捕まり死刑の宣告を受けるが、奇跡的に生き延びて98歳まで生きた。

写真は、1945年1月27日、連合軍によって解放されたアウシュヴィッツの子供用バラックから出てくるユダヤ人少年囚人たち。元気に見えるだろう。元気に見えるのも当然で、このように元気で何らかの作業の役に立つ場合だけ生かされていたのだ。真ん中の可愛い子は余の少年時代にそっくりだ。今でも面影あるからな。えっ、Hoax だろうって?