Comments by Dr Marks

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なぜわざわざ四福音書と言うの?(@Marx_hakaseのツイタからのまとめ)

ある原稿段階の本の一節より(著作権取得済み) 

福音書に関する)予備的説明

 新約聖書の初めの四巻を福音書(Gospel)といい、マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネの順であるが、それぞれ正式には「マタイによる福音書」のようにするのが慣わしである。ただ、本書ではそれでは冗長すぎるので古い日本語訳に従って「マタイ伝」とすることにする。これは便利な習慣である。つまり、「マタイが伝えた福音=ふくいん=幸(福)いな訪(音連)れ」の意味であり、マタイが伝えたギリシア語でいうエヴァンゲリオンであり英語のgospel のことである。(なお、以下においてギリシア語はギリシア文字やローマ字翻字はギリシア語を習った読者でなければ意味がないので片仮名書きとするが、聖書ギリシア語の読み方には少なくとも三種ある。エラスムス式、歴史的発音式、慣用式の三種であるが、本書は一般性を重視し慣用式を主に使用する。)
 福音書は四つに決まっているから「四福音書(よんふくいんしょ)」とわざわざ言うのはおかしいとお考えかもしれないが、これにはわけがある。初めの三つの福音書を特別に「共観福音書(Synoptic Gospels)」と呼ぶことがあるからである。共観(きょうかん synoptic)というのは読んで字のごとく「共に観ている」ということで、まるで一緒に見ていたように共通点が多い。しかし最後のヨハネ伝は初めの三つとは趣が違う。従って、ことさらに福音書すべてを指す場合は四福音書(Four Gospels)ということになる。