Comments by Dr Marks

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権威はどこからくるか? イーアマン曰く、専門の教育を受けているかどうかだって


曇天のウォーターマン通り。昔、我が宗家の領地だった所。サンバナディーノ国際空港の近くだ。我が家から60マイル(100 km)くらい東の地。パームスプリングズからの帰り道で、Waterman Avenue の標識を携帯のカメラでおさめようとしたが遠すぎて失敗。文字は見えない。ところで、我が家の領地なんて嘘。アメリカに封建領主はいないし、Waterman Avenue なんて(前に調べたが)カリフォルニアだけで5つは少なくともある。

日本ではアーマンともいわれるイーアマン(Bart D. Ehrman)が2007年だったかスタンフォード大学で"Misquoting Jesus"という講演をした。ご存知の方はご存知のように(当たり前か)彼の同名の本に関わる内容だ。私は彼とはかなり違う見方をするのだが、彼の見方の筋道はわかるのである。それは議論が可能な提示が具体的にあるからだ。要するに、定石を辿るということである。

それは一応置いておいて、講演の後、彼がフロアからの質疑に対して応答していた。質問が素人の書いた本と玄人(研究者)の書いた本との違いに及んだときに、彼は素人の本など読まなくてもいいと言った。質問者は畳み掛けて、「どうしてか」と再度問うたら、「権威ですよ」と答えた。面白い答だが、ある意味では傲慢と取られかねまい。しかし、私もこれには同感である。

彼は、権威の中味については、専門的な教育を受けて、そのテーマに関する teaching credential(教授資格)や degree(学位)があることと続けて説明していた。まあ、かなりアメリカ的な常識かもしれない。日本では素人が大学でも出版界でも堂々と仕事ができるのだし、そのほうが人気があったりする。

そのときの講演全体を聞くことができるので紹介する。「権威」という質疑応答はもちろん終わりのほうだから、先のほうを飛ばしてその部分を聞くこともできると思う。なんでこの俺がイーアマン野郎の宣伝なんかしなければならないのかわからなくなったが、まあ面白い(彼は講義は上手い)男なので全部聞いてみるのもいいかもしれない。それにしてもあのむさくるしい無精ひげと汚そうなTシャツはどうにかならないかね。(彼は、ほんの少し前―7年くらい前―まではネクタイとワイシャツをきちんと着けていたはずだがなあ。)