Comments by Dr Marks

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んっ、これが裁判員と(アメリカの)陪審員の違いだって?! 

いくつかのサイトでアメリカの陪審員は量刑には関わらないと書いてあったが、誤解を受ける書き方だ。確かに、アメリカのほとんどの州の裁判官は量刑に関してテクニカルな塩梅を加味することは本当だが、基本的にはほとんどの州の陪審員が量刑に関わるのである。「ほとんどの州」と繰り返すわけは50州全部について確認していないだけで、文字通りに受け取ってもらっていい。

こんなことは、アメリカ映画やグリシャムの(大衆)小説などに親しんでいる者なら当然知っている常識だろうし、大きな事件は日本でも報道されるのでわからないはずはない(と思ってしまう)。そうだ。有罪の評決(verdict)を出したら、次は量刑についても陪審員は評決するのだよ。もっとも、有罪か無罪かについて全員が一致しなければ裁判は新しい陪審員でやり直し(mistrial)だが、量刑のほうは(例えば)死刑で一致しなければ、やり直しはせず、裁判官がlife sentenceにしてお終いではあるが、陪審員が大枠を決めるのだ。

ところで、このlife sentenceは普通「終身刑」と訳されているようだが、実は「無期刑」だ。はっきりとした終身刑はlife sentence + without parole(paroleすなわち仮釈放なし)でなければならない。Life sentenceでも十年くらいで仮釈放されることもある。「仮」が付いていても、問題がなければ事実上の永久釈放だわな。

えーと、じゃ何が大きな違いかというのを一言で言えば、「アメリカの陪審員は基本的に裁判官以上の権限が有罪無罪の判断のみならず量刑にも与えられているのであるが、日本の裁判員制度では常に裁判官が裁判員評決に関与(参加)していること」である。