Comments by Dr Marks

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対で覚えるイディオム "What You Call" と "What You Say" (口語英語表現でごまかすブログ No.6)

今、日本は日曜の午後。こちらは土曜の夜。私のブログとしては200日目連続記事アップの記念すべき日だ。そう、昨年夏に、1日も休まずブログを書いてみせるぞと決心してから200日目なのだ。それなら、聖書関連の記事にしようかと思ったのだが、なぜなのかはわからないが、土日の我がブログのギャラリーは少ないのでやめた。

少ないから手を抜くというのではなく、数日前に今日の標題の予告(約束ではない)をしたことをふと思い出したので、それを書く。しかし、先ほど、これもふと(要するに出まかせ風まかせということだが)共観福音書問題をテーマに書き出したが(これも故グールダー先生からの風まかせ)、「福音」とか「福音書」という言葉についても概略を説明しておいたほうがいいことに気がついた。

ところが、そうすると今日のうちには時間がない。なぜなら、これからロスアンジェルスでも只で観られるNHKの『龍馬』が始まるのだ。終わってからでは今日が過ぎてしまう。そこで安直に、今は口語英語表現でごまこそうとしている。(なお、私が観ている『龍馬』は、ロハで観ている悲しさ。数週間は後れた内容だ。確か、今日が第3回目。もちろん当地でも、金を出してケーブルで観れば、日本時間とほぼ同じだそうな。)

えーと、やっと本題。二つの表現は似ている。しかし、もちろん意味も用法も違う。意味は What You Call が、「あなたが呼ぶところのもの」あるいは「あなたが名付けるところのもの」であり、What You Say は、「あなたが言うところのもの」である。同じではないかと言うあなた。あなたは日本語を見ているからそう思うだけだ。英語の Call という動詞と Say という動詞は根本的に違う。(多分、日本語でも違う。)

この句法での Call は基本的には第4文型(SVOO)または第5文型(SVOC)の中で機能するのに対して、Say は第3文型(SVO)の中で機能する。この辺りの説明はしないよ。中学の教科書に相談してください。

そんなことより、問題は口語英語に出てくる場合だ。会話中に盛んに “what you call” を挿入する人が結構いる。先日、ダライラマの説教を聞いていたら、同時通訳が訳につまずいたのか、そのとき使っていた。会話だから、ゆっくりとは発音しないので「ワッチュコール(whatchu call)」と聞こえるはずだ。

さて、訳は「あなたが呼ぶところのもの」と先に書いた。しかし、ここでの You は「不定人称」(不定人称の代表的なものは、ドイツ語の man かもしれない。man は Mannから派生しているが、常に小文字で書かれ、n が一つ足りない)といわれるもので、「一般の人は」という意味であり People のことだ。つまり、より正確には「人が呼ぶところのもの」という意味にもなる。

(状況によっては「あなた」となる場合ももちろんある。実際あなたが人権についてくどくどと説明したとする。その後で相手は、“Hmm, that's what you call human rights. と言ってくれるだろうし、また自分が説明した後なら、あなたはまとめとして “That's what I call human rights.” と言える。)

これはまた、会話の中で内容をだらだらと説明した後、まとめとしてそれを一言で表す専門用語などを口にする一歩手前に挿入することができる。どちらかというと文語である namely や i.e.(= that is = that is to say)とは別で、口語専門だから、逆に文語(書き言葉)には使わないほうがいい。

例えば、“Ah, legally and ethically, we have some basic rights to maintain our living and dignity. And these rights should be given equally to us, . . . so, what you call, . . . human rights.” という具合だが、この例にも見られるように、まとめとして言う場合のほか、まとめようにも肝心のその言葉がつかえて出てこないときに、つなぎの言葉として入れる場合もある。ときには “what you call . . .” と言ったまま立ち往生する人もいるので、あなたが何と言えばいいかわかった場合は、代わりに言ってあげてもいい。すると、その人は、“Yes, that's it. Thanks.” と感謝するだろう。

ただし、“what you call” と会話の相手が言ったとしても、あなたが何か言う必要はない。じっと、相手が次に何を言うのか待っていればいい。ところが、Call の代わりに Say が明らかに聞こえたときは、たいてい “What did you say?” と言われているはずだ。つまり、あなたの言う意味がわからないか、あなたの英語がわからなくてあなたに聞き返しているのだ。「もう一度言ってくれ」あるいはもう一度説明してくれ」ということ。つまり、“I beg your pardon.” ということだ。この意味で Call を使うことは絶対ない。

最後に、もう一度比較してみよう。That is what you call “X.” 「それが、つまりX」または「それが、あなたの言うX」と That is what you say. 「それは、あなたが言うこと」。ここに日本語の「が」と「は」の違いも出たな。

待てよ。福音とか福音書という言葉の由来を書く予告しちゃったのかな。やば。