墓を作って失脚した男、その名はシェブナ-ヤフー
シェブナと聞いてすぐにどんな男かわかる聖職者(神父・牧師)は、よほど聖書に通じているか変わり者。しかし、驚いたことに、この若くて優秀な学者、クリス先生(Christopher B. Hays、 http://is.gd/9cazD)が、この春の学会(http://www.sjsu.edu/wecsor/)で、“It's the Tomb, Shebna: A New Reading of Isaiah 22:15–19 in Its Ancient Near Eastern Context(それが墓だよ、シェブナ:古代近東の文脈でのイザヤ書 22:15-19 の新しい解釈)”という演題を発表する。
さあ、彼の発表はどうなりますかね。彼は今イザヤ書の新しい翻訳に取り組んでおり、またそれを授業にしている。語学の天才だしなあ、アホの Dr. Marks とはクモドロの違いですねん。わしかて、クリス(嫉妬から呼び捨てにしちゃう)みたいに早いうちにこの道に入っとったら少しは賢うなっとったろうに(←なるもんか)。
さて、彼ではなく、私のほうのお話です。シェブナは南王国ユダの王ヘゼキアの側近で(役職は諸説あり)、紀元前8世紀の男。聖書では、上記のイザヤ書以外では同じくイザヤ書36:3−37:2、更に列王記下18−19章の男が同一人物とみられている。クリスの野郎、いやへイズ博士の題にある話では、神の命令で預言者イザヤが、この男シェブナを王の側近からはずし、代わりにエリヤキムに役目を与えるというもの。
なぜか? 勝手に自分の墓を作ろうとしたからざんす。(そこは自分の聖書で読んでね。と、さりげなく聖書を読ませてしまう高等テクニック。)これが今までは傲慢の証とされとります。だから、クリスとも呼び捨てにされるヘイズ博士がどんな解釈をするかが見物です。彼の名前がユダヤ風ではなく、エジプトとの同盟を成功させたり、傲慢に生前に墓を作ってエジプト王族の真似をするというので、エジプト系かという意見もあるが定かではない。
で、見つけちゃったのよ、彼の墓(http://en.wikipedia.org/wiki/Shebna)。見つけたのはエルサレムはキドロンの谷、現在はアラブ村シルワン(Silwan)という所(昨年、この近くにしばらく滞在した)。見つけた写真の碑銘は現在大英博物館にある。書かれている文句は「宮廷を支配するヤフー(=シェブナ)の墓。金も銀もここにはない。あるのはシェブナの骨とその妻の骨だけだ。この墓を暴くものは呪われるべし。」
暴いた人が呪われたかどうかはわからない。しかし、生前に墓を自分で作って威張る奴は失脚して呪われ、命を絶たれた。だって、イザヤ書には「主はお前を衣のように巻き、ターバンのように丸めてまりを作り、広大な地へ放り出される。そこでお前は死に、そこにお前の誇る馬車も捨てられる。(新共同訳)」と書いてあるもん。はなくそまるめて、まんきんたん、放ったれ放ったれ、墓穴、掘ったれ♪
いやー、聖書って面白いですね。また読んでみましょうね。
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