Comments by Dr Marks

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対で覚えるイディオム "Pin Money" と "Beer Money" (口語英語表現でごまかすブログ No.12)おまけ "Pocket Money" と "Petty Cash"

こんなんでいいのかと記事を書くに当たって心許なかったのだが、意外や前回も結構受けたようなので週末に当たり、また紹介する。四つの言葉いずれもお小遣いやへそくり(secret hoards)のことだが、それぞれの使い方は違うので、その説明をしよう。

多分、この中で日本語になっているのは3番目のポケットマネーだろう。メリアム・ウェブスターの編集室によれば用例は17世紀にすでに見られるそうだ。だから、れっきとした英語であり日本語化を遂げた言葉だといえよう。ただ、少し気掛かりなのは英和辞典の多くが「子供の小遣い」としているが、大人の小遣いでも一向にかまわない。なお、子供の小遣いというとアメリカでは月ぎめ週ぎめの子供の小遣いをallowance(アラウアンス)などともいう。

おまけから先に説明してしまうが、4番目のペティキャッシュは個人の小遣いというより、会社や組織の「小口現金」のこと。手提げ金庫などに入れておいて日常のちょっとした出金に当てる。アメリカでは現金だけではなく、ペティキャッシュ用の小切手を用意しているところも多い。会計担当者かそのセクションの責任者がサインすればいいようになっている。しかし、近頃は小切手代わりのデビットカードが普及している。

さて、いよいよ本割のピンマネー対抗ビーアマネーだ。さあ、どちらが強いか。昔はビーアマネーのほうが強かった。なにしろピンマネーはビーアマネーの一部だったからだ。ここで誤解のないように。このピンは日本語の「ピンはね」のピンではない。日本語の「上前(上米)はね」に使われるピンとは「一」すなわち1割のことらしい。英語のピンマネーのピンとは女が頭に付ける pin のことじゃ。

だから、女性の(母ちゃんの)自由になる小遣いのことだ。昔は、日本と違って女性が財布など握っていないのが西欧社会だから、旦那が嫁さんに「これで飾りピンでも買いなさい」といって上げたのが名称の始まり。夫が優しくなくてはピンマネーも何もない。そういう優しい夫だと、嬉しいこともある。Wow, my wife is superb. She stashed away her pin money and bought a 9mm caliber pistol for me. (うわー、うちのカミさん最高。自分の小遣い貯めて僕のために9ミリ口径のピストル買ってくれたよ。)えっ、なぜピストル? 今、私自身が持ち運びに便利な新しいピストルを欲しいから。

ビーアマネーは逆に父ちゃんの小遣い。パブに行って一杯引っ掛ける程度の小遣いのこと。昔はビーアマネーの一部がピンマネーになったのであろうが、今じゃ関係ない。西欧社会でも母ちゃんが財布握るところが多くなったし、握っていなくても夫の勝手にはならない家庭が多くなった。逆に、今じゃ、男が奥さんに「ねっねっ、ビール代と煙草代おくれ」というあんばいかもしれない。ピンマネーのほうが強いのだ。オバマがこっそり煙草吸うときはカミさんに内緒なんだろうか。

待てよ、そんなことを言ってはいられない。オバマの野郎、健保法案強行採決するつもりだぞ。この野郎! 俺のビーアマネーがますます減るじゃねーか。賛成派と反対派で内戦だー。Civil War II だー。ピストル、ピストル、・・・