Comments by Dr Marks

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対で覚えるイディオム "Poor Thing" と "Poor Fellow" (口語英語表現でごまかすブログ No.13)おまけ "God Knows" と "The Devil Knows"

さすがに土日も休まずブログを書くのはきつい。今、日曜の午後、しかも出先。現在、連続215日目だ。1日4本の記事を書いたりするから記事の数はもっとある。ふん、そんなゴミブログは誰も読まんから書かんでいいよ、という声も聞こえる。しかし、これは一種の拡大版Twitterであるから、誰も読まなくても書くだろう。

小谷野敦先生に、「無視に耐えるのも学者の能力の一つ」(ちょっと違ったかな)と言われたが、実は、説教者というのは売れない落語家と同じで、聴衆がいようがいまいが高座が掛かってしまったら平気でしゃべるという点では同じだから、既に訓練は受けているのである。

ただ、小谷野先生の場合はやさしい座長という印象を受ける。何を隠そう(もともと隠しているわけだはないが)、実際に学会で発表しても何の反応もないことは経験している。うん、反論も質問もコメントも、一切ないのだ。あれっ、シーン。プログラムの進行に追われていることもあるが、冷たい座長なら、「はいっ、じゃー次の発表者」ということで私はすごすごと退くしかない。

しかし、心の温かいというか、教師根性に溢れている座長なら、発表者よりも上手に発表の核心をまとめてくれて、「ありがとう」と言ってくれる。場合によっては、座長自身が改善点などを示唆してくれる。(面白いことに、この座長の発言から、今度は静かだった会場から手が挙がったりするから不思議。)

さあ、今日の話題に入るぞ。こんな哀れな発表者にふさわしい言葉は何か。「かわいそうに」とか「哀れな奴」であろうが、英語でふと口から出るとすれば、それは "Poor Thing" と "Poor Fellow"であろう。どちらかと言えば、前者の "Poor Thing" ですべてことは済む。もちろん "Poor Fellow" でもいいが、ニュアンスが異なる。見下した感じが加わることがあるからだ。

"Poor Thing" なら誰に対してもどんな状況でも使える。もっとも言うときの調子などで、馬鹿にしたことにもなるし、心からの同情を表明することもできるのだ。なお、英語の thing は日本語の「物」以上の含意がある言葉だから、この場合は「こと」に近いかもしれない。更に、過去・現在・未来のすべてのことに使える。「かわいそうだった」、「かわいそうに」、「かわいそうなことになる」すべてが、"Poor thing" の一言で済む。

独立副詞節としての用法は(口語表現としてだが)、例えば "Poor thing, he failed again.(哀れなことに、彼はまた駄目だって)" となる。他に "Oh, you poor thing(ああ、君、かわいそうに)"、" Sorry to hear that Jim, poor thing(ジム、例のことを聞いて残念に思う、かわいそうに)" という具合だ。そんなふうにいろいろ言うのも気が引けるようなら、傍に寄って小さく "Poor thing" とささやくのもいい。

直接名前を入れて、"Poor Mark(哀れなマークちゃん)" などと言われるよりは、その人のせいではなく、運命的な中性的な感じが出る。「どうしようもなかったんだ、不可抗力だ」というのは、神様の責任または神様の特別な計画ということで個人の責任逃れになる。入試に失敗したのは自分のせいじゃない。浮気に至ったのも自分のせいじゃない。マイナーにいたずらしたのも自分のせいじゃない。(冗談だよ。)

さて、そこでだが、明日不幸になるかどうかは誰もわからない。だから、"No one knows"。今は、ちょっと不幸だけど、明日は期待できるかもなら、"No one knows" と言うだろうか。私なら"God knows" と言うだろう。このほうが何となくいい。前向きで。"Who knows?" も可能だが、何となくふてくされている。

いよいよ最後だが、「悪魔が知っている」とはどういうことか。 不幸が起こるかもしれない、または不幸が起こることが明白な場合など、例えば "The devil alone knows what!(悪魔だけが知ってるんだよ、どんなおぞましいことか!)"。くわばらくわばら、ヒューどろん。Poor thing!