Comments by Dr Marks

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ヘイデル(ユダヤ教神学校、Cheder)中退のアイザック・シンガーと『火事』の主人公


ロスアンジェルスにあるヘイデル(神学校)の一つでの馬鹿騒ぎ(と、言ったら怒られるか)

アイザック・シンガーの兄ちゃんもなかなかの人で、ワルシャワで出版と編集にたずさわっていた。神学校を中退して、田舎で両親の許に居候しヘブル語を細々と教えていたアイザック(イシャーク)をワルシャワに呼び寄せて自分の仕事を手伝わせたのも、ナチが押し寄せる前にニューヨークに移住し、アイザックを今度はアメリカに呼び寄せたのも、この兄である。(彼らの両親はいずれもラビの家系で、父親も、また母方の伯父叔父たちはラビだが、息子たちはラビにはならなかった。)

この兄の名はイスラエル(イズレイエル)・シンガー。アイザック・シンガーの一人息子(若いときの内縁の妻との子)の名前もイスラエルで、現在はイスラエルに住んでいる。この妻とこの息子は、シンガー兄弟がアメリカに渡った頃、モスクワに移住し、息子はその後イスラエルに定住した。1955年に約20年ぶりに再会するが、アイザックは息子にヘブル語で話しかけた(前述の通り、彼はヘブル語教師であった)。しかし、なあ、息子のイスラエルは、イーディッシュ語、ロシア語、ヘブル語のほか英語も話すらしいぞ。(シンガーはその後再婚−法律的には初婚−したが、他に子供はいない、と思う。)