Comments by Dr Marks

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対で覚えるイディオム "Oh, woe is me!"と"Oy, vey iz mir!" (口語英語表現でごまかすブログ No.2)

日曜の午後は何となく平和(西海岸時間2月28日)。昼寝の後のボケた頭で(ええ、いつだってボケてます、知ってますよ)こんなんで今日のブログごまかそうとした。しかし、. . .

対にするのがめんどうで、口語英語としては、ついぞお目にかかれぬ組合せとなってしまったわい。すか〜す、フェアファックスからビヴァリィヒルズに住むユダヤンびと(ならびにユダヤンの人たちと付き合う人々)なら後ろの表現も日常英語会話のうち。なに、ロサンゲレスばかりやない、ヌーヨークはブルックランとかアメリカ中で、またエルサレムはおろか、パリでもロマでも世界中で今でも通じまっせ。あなたが年寄りに使ったら、大喜びでかわいがってくれまっせ。

おっと、発音ね。前のは純粋英語だから「オー、ウォゥ イズ ミー!」、後のは「オイ、ヴェィ イズ ミーア!」。後者はあまり語間を空けずに発音したほうがいい、「オイヴェズミーア!」くらいかな。しかし、何でしょう、この変な英語、私の上品な英語の先生に叱られますわ、とお考えのエレガントなあなたはお使いにならないように。(しかし、これ使うのは、金持ちの上流階級が多いんだけどなぁ。)

これはホントは英語でなくてイーディッシュ語(Yiddish)ですねん。東欧系ユダヤンの共通語でした。「でした」というとロレンス・シャフナー叔父が怒りだす。自分じゃイーディッシュまともにしゃべれないくせに、この国粋主義者は、「今でも生きてる!」と電話口で30分もどなってる。「どなるんなら、英語でなくてイーディッシュでやってみろ!」と言いたかったが止めた。更に、1時間どなりかねない奴だから。

まっ、ともかく、イーディッシュは、ヘブル文字を使ってドイツ語使ってる感じでんな。だって、ドイツ語で例えば Ach, weh mir! (アッハ、ヴェー ミーア!)となるわけで、音がそっくりでしょう。言葉というのは、書いてみると繋がりがわかる場合と、発音を聞いたら繋がりがわかる場合があります。とくに口語というものはそうです。

例えば、あなたが朝鮮語はわからない場合でも、ましてやハングルなど1文字も読めなくても、長く聞いていると、日本語に近いからかなり理解できるようになります。例えば、私のKorean-Americanの友人の留守電は、初めに “Please leave your simple message” と言った後で同じ内容を朝鮮語で繰り返すが、ほとんどそれは日本語ですよ。

で、これはドイツ語 “Ach, Weh mir!” が→イーディッシュ語 “Oy, vey iz mir!” となり→英語となる “Oh, woe is me!”。さて、使い方だが、突拍子もないことが起こったら、「オイヴェズミーア、オイオイオイ!」と頭を抱えるか、両手を挙げてうろうろしてみせる。「オイオイ」と泣いてみせてもいい。(あれっ、日本語でも「おいおいと泣く」だね。)

何っ? 意味は、だって? 今さら意味かっ! 口語は勢いで覚えるもんじゃ、いちいち意味など気にするな。と、言いつつも教えちゃる。Woe も vey も「災い」のことだ。日本語訳の聖書ではたいていそうだな。何っ、また聖書か? うん、だって、これは聖書を読ます高等テクニックだもん。

何度も出てくるよ聖書には。例えば、ヨブ記10章15節「わたしは災いを受け」。イザヤ書6章5節「災いだ」。英語訳によっては、is の代わりに “Woe to me”または "Woe unto me" ドイツ語訳では “Weh mir” だが、”Wehe mir” の形もある。(WehもWeheも同じ。)

最後に注意。これって災いや不運を笑い飛ばせる度量(またはピエロの技量)のある人でなければ使えないかも。だって、本当に苦しそうにして、「オイヴェーズミーア、オイオイオイ」と言われてごらん。ねっ、まずいでしょ。(だから、本当に苦しかったら、一人部屋に籠って泣くしかない。神様にその祈りが通ずるまで。)

ウィキの参考ページ(日本語版なし、どころか英語版だけ。ねっ、これって口語英語なのよ。):http://en.wikipedia.org/wiki/Oy_vey