Comments by Dr Marks

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No.6.

アレフ(א)、ベイズ(ב)、ギムル(ג)、ダレッドゥ(ד)、ヘイ(ה)、さあ今日はここまでやってみよう

どうもね、イーディッシュなどという御用とお急ぎでない方でさえ鼻もひっかけない話題が続くと(しかも講座もんだぜ)途端に読者の数が少なくなる。まあ、いいか、ブログなんてくだらないものは呟きと同じで人が見ようが見まいが(聞こうが聞くまいが)自己満足だからね。

さて、今日からイーディッシュのアルファベット(アレフベイズ)の発音練習だが、ネットで便利なのはYIVOのサイトであった。ヘブル語はたくさんあるのだが、イーディッシュのサイトは少ない。がまんしてくれ。Realplayer のソフトが必要だが、このサイトの初めにクリックすれば安全に無料ダウンロードできるようになっている。なお、YIVOはイーヴォと読む。(http://www.yivoinstitute.org/yiddish/alefbeys_fr.htm

アレフは3種類ある。初めのアレフアレフだけで黙字アレフ(シュトメル・アレフ)といわれる。基本的には母音で始まる単語の語頭に使われるのだが、使わない書き方が増えている。(日本語の現代仮名遣いと歴史的仮名遣いの違いなどは可愛いもので、イーディッシュの正字法は多種多様。学習が進めば進むほど驚くが、逆にどうでもよくなって問題はなくなるから、今は気にしなくていい。)

次がア音のアレフ(パセフ・アレフアレフの下に横棒)、次がオ音のアレフ(コメツ・アレフアレフの下に┬が付く)である。それぞれの呼び名の発音の次にイーディッシュの単語の例とその英語訳を発音してくれる。ア音は、アドヴォカット(advokat)の “a”、意味は法律家(英語でlawyer)、オ音はオドラー(odler)の “o”、意味は鷲(eagle)と言っている。

他の文字を書くのは見たとおりに書けばいいから問題はないが、実はこの最初のアレフを書くのが困難なようである。普通は印刷体といっても手書きでボールペンや鉛筆で書くわけだから(これをmanual printという)ヒゲとかハネとかは付けなくていい。まず、左上から右下に斜めの棒を真っ直ぐに書く。次に右半分の棒を右上から先に書いた棒に付くまで真っ直ぐに書く。最後に今の接点から少し上から書き出して左下に半分の棒を書く。エックスの字が真ん中でうまく交わらなかったような字になる。


これでアレフは漢字の画数で言えば3画(3 strokes)であることがわかる。実際に余が書いたものに筆順も示してみた。これが基本である。ところがどっこい、混乱させるのが余のイーディッシュ講座。実はね、普通は慣れてくると3画では書かないの。自然と2画になってくる。つまり、第二ストロークと第三ストロークは止めずに続けて書く。続けて書くと真ん中でぐにゃっとなって活字体により近くなるから不思議。それも余が書いたのに筆順を示した。2画目は途中でぐにゃっと曲げて一気に書く。


ベイズは2種類。初めが強いビ音(強音ベイズ)でベイズの文字だけ。(別の書き方ではヘブル語のように真ん中にポイントを付けることもある。このポイントをdageshという。)次が弱いヴの音(弱音ベイズ)でベイズの上に横棒を付ける。強音ベイズの単語の例はブルーダー(bruder)の “b” 、意味は男の兄弟(brother)のこと。弱音ベイズの例はない。

次にギムル。ゲレクゥフテル(gelekhter)の “g”。意味は笑い(laughter)。そしてダレドゥ。デルツェイルング(dertseylung)の “d”。意味は話(story)。今日の最後がヘイ。ホルツ(holts)の “h”。意味は木材(wood)。はい、お疲れ様。単語もいくつか覚えられたね。