No. 7.
ヴォヴ(ו)、ザイン(ז)、ヘス(ח)、テス(ט)、ユッドゥ(י)、カフ(כ)、さあ今日はここまでやってみよう
発音例のサイトは前回同様にYIVOを借りる(http://www.yivoinstitute.org/yiddish/alefbeys_fr.htm)。ここに今日初めのヴォヴ(ו)の発音例はないが気にすることはない(←またか!)下唇を軽くかんで Vov とやればいい。簡単だ。この字が出てくるとウーという発音になる。2種類あるが点が付いているのをメルプム・ヴォヴという。発音は点なしのヴォヴと同じだが、綴り上、下にあるユッドゥ(י)の次のヴォヴやヴォヴが連続した場合に後ろのヴォヴを点付きのヴォヴにする。
点付きヴォヴを使わない書き方もある。普通、「どこ(where)」という意味の単語は「ヴー(וווּ)」と書くが、「ヴー(וואו)」と書いている本もあるから注意。(ねっ、何が出てくるかわからないのがイーディッシュ。)
ザイン(ז)は発音例がある。祖父(grandfather)という意味の「ゼイデ(zeyde)」の z の音だ。ヘス(ח)も発音例がある。喉の奥で強く破裂させるハヒフヘホの音だが、この音を表わすためには普通はカフ(כ)の文字を使う。じゃあ普通でないときは何かというとヘブル語起源の単語をそのまま使うときだ。例えば、この発音例の「花婿(bridegroom)」の意味の「ホースン(khosn)」などだ。なお、イーディッシュの複数形は英語のように s を付けるのが標準だが、ホースンは「ホースィム(khosim)」というようにヘブル語の複数形が使われる。
テス(ט)は「父(father)」の意味の「タテ(tate)」の t の音。ユッドゥ(י)は「少年(boy)」の意味の「イングル(yingl)の y の音。2種類あって、下に小さな点(ヒレック khirek)が付けば長いイーの音になる。
今日の最後はカフ(כ)。全部で三つあるよ。(1)中に点(ダゲッシュ、dagesh)が付いてカフ、(2)付かなければハフではあるが、アルファベットの呼び名としてはヘブル語風にカフでいい。付いた場合の発音例が「花嫁(bride)」の意味の「カレ(kale)」の k 音(んっ、彼女なのにカレとはこれいかに!)。付かない場合の例がヘス(ח)と同じ発音のハフ(כ)である。発音例は多分(余の耳では)「ハヴ・ラップ(chav-rap)」と言っているが、これは「ヘルター・スケルター(helter-skelter)」系の音楽ということだね。音はハヴのハ(kh=ch)。ただし、chav-rap や chabad のように kh を ch で表わすこともある。チではなくハだからね、注意してください。
(3)最後のだら〜んと延ばした字はハフ(כ)の字が単語の最後に来たときに使う。ギリシア語のシグマに2種類あり、語頭語中用と語末用があるようなものである。現在はギリシア語もヘブル語も分かち書きをするが、単語と単語の間を空けずベタに書いていたときの名残でもある。イーディッシュ(ヘブル語)では他に4種類あるからこれから学ぶ。今日はここまで、ご苦労さん!