Comments by Dr Marks

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Isaac Bashevis Singer

No. 12.

この小説は都合により翻訳をいったん中断します。いずれまた。 新しい小説『火事』を初めから原語(イーディッシュ語)を基に訳している。あまり進まない。お笑いだが、訳してから英語訳(Fire)などで確認している。しかし、英訳ではわからないことがたくさ…

No. 11.

『阿呆のギンペル(Gimpel the Fool)』 11(完) ただし改訳予定。 僕は子供たちに言った。「元気でな。ギンペルのような者がこの世にいたことなど忘れてしまいなさい。」 ハーフコートを羽織り、靴を履き、片手に祈祷用のショールであるタリスを入れた袋を…

No. 10.

『阿呆のギンペル(Gimpel the Fool)』 10第IV部 ある夜中、喪の期間が明けた頃、小麦粉の袋の上で夢見心地で横になっていると、悪霊がやってきて言った。 「ギンペル、どうして寝てるんだ。」 「他に何をすればいいのかね、クレプラハ〔ユダヤ式ワンタン・…

No. 9.

『阿呆のギンペル(Gimpel the Fool)』 9 エルカは、「今晩も昨晩も夢に見たことが実現して、お前さんが身も心も謙虚になりますように! 悪霊がお前さんに根付いちまって、目をくらましているんだよ」と言ったかと思うと、叫びだした。「憎しみのかたまり!…

No. 8.

『阿呆のギンペル(Gimpel the Fool)』 8 夜になってパン生地を発酵させるために覆いを掛けて、自分の分のパンと小麦粉少々をを小さな袋に詰めて家路に向かった。月は満月で、星も輝いていたが、何か胸騒ぎがした。先を急いでいると、僕の前に僕の長い影が…

No. 7.

『阿呆のギンペル(Gimpel the Fool)』 7 第III部 地域のラビたち全員の合意が得られたときには、既に九か月が経っていた。僕は、たったこれだけのことに、かくも微に入り細にわたった博学が必要であるとは想像だにできなかった。 そうこうするうちに、エル…

No. 6.

『阿呆のギンペル(Gimpel the Fool)』 6 そのうるささといったら、町中を起こすほどの唸り声を発しているのは、僕の寝床にいる僕ではない者であったが、胸に去来したのは赤ん坊を起こしてしまうじゃないかという懸念だけだった。他人が僕の寝台で寝ている…

No. 5.

『阿呆のギンペル(Gimpel the Fool)』 5 すると彼女は、赤ん坊は未熟児だったと言った。僕は、「ずいぶんな早産にしては小さくないじゃないか」と反問した。更に彼女が言うことには、彼女のように短期間で子を産む祖母がいたそうだ。一滴の水が更にもう一…

No. 4.

『阿呆のギンペル(Gimpel the Fool)』 4 第II部夜になって妻が寝ているところに来てみたが、中に誘おうとはしない。「おい、どうなんだ、これが皆が用意してくれた僕たちの結婚なのか。」すると彼女は、「月の障りなのよ」と返事した。「しかし、昨日は浄…

No. 3.

『阿呆のギンペル(Gimpel the Fool)』 3 僕は砂地に建っている彼女の土壁の家に行った。悪ガキどもは叫びながら歌いながら僕の後に付いて来た。彼らは僕を熊でも虐待するかのように振る舞った。しかし井戸のところに辿り着いたときには皆いっせいに立ち止…

No. 2.

『阿呆のギンペル(Gimpel the Fool)』 2 僕は孤児だった。僕を育ててくれた祖父だって、ほとんど棺桶に片足突っ込んでいた。だから、次に、あるパン屋に連れて行かれた。そこでどんな生活をさせられたと思う! 麺一束を焼きに来るご婦人も娘たちもこぞって…

No.1.

『阿呆のギンペル(Gimpel the Fool)』1ノーベル賞作家アイザック・シンガーのイーディッシュの原作を、同じくノーベル賞作家ソール・ベローが英訳した作品の和訳(重訳)だ。今のところ重訳だが、そのうちイーディッシュの原文と照らし合わせる。多少はイ…