I.L. Peretz(I.L. ペレツ)作 及部泉也 訳 @2013 Izumiya Oibe 禁無断転載 前編と中編から先にお読みください。 「あなたにも良き過ぎ越しの祭を!」ととりあえず二人は返した。暗闇に訪問客を放り出したままにもできないからである。 「今晩の晩餐の客とし…
I.L. Peretz(I.L. ペレツ)作 及部泉也 訳 @2013 Izumiya Oibe 禁無断転載 ハイム・ヨナはかつて材木商であった。かつてというのはこういう事情だ。「格安」の森の権利を買うまでは材木商だったが、その森はほどなく政府が木の切り出しを禁止したので、彼は…
I.L. Peretz(I.L. ペレツ)作 及部泉也 訳 @2013 Izumiya Oibe 禁無断転載 ヴォーリン[今のウクライナとポーランドの接する地域]のある町に魔術師がかつてやって来たことがある。 ユダヤ人は皆、自分の頭の髪の毛の数よりも頭を悩ますことの多い過ぎ越し…
この話は多少細部や登場人物の役割が異なる話があるわけだが、そのうちの一つをいつもの及部泉也氏と骨さんに監修してもらったので紹介する。身なりのきちんとした中年の女性が一人で食事をしにレストランに入ってきて、店の主人としばらくメニューについて…
いつも暗いユダヤの歌では気がめいる。たまには彼ら独特のユーモアで。歌としては簡単なものであるから訳詩というよりは歌の説明的に。なお、言うまでもないだろうがラビはユダヤ教徒の坊主兼裁判官。なーに、裁判官といっても、よろず揉め事収拾屋、すなわ…
この歌の状況は、標題のようであるとは限らない。小銭そのものの歌と言ってもいいし、なけなしのお金で大道音楽師に好きな歌をリクエストする立場の歌でもいい。この歌も歌う人によって多少歌詞が変わるようであるが、以下の訳はこのヨウツベの通りに訳して…
誰だ? Joan Baez の歌か、などと間違いの場違いの罰当たりをほざいてるのは。そう、元々はイーディッシュの歌詞だ。なお、余は一貫してイディッシュではなくイーディッシュと片仮名で表記しているが、そのほうが適切だからである。余に従うものはイーディッ…
ほらっ、左上に日本語で「セール」ってあるから日系マーケットなのがわかるだろ。ロサンジェルスのダウンタウン、小東京(Little Tokyo)だよ。書店その他いろいろあるこのモールで、余がエレベータを降りてふと上を見たら、たぶん銃器を持った警備員であろ…
一つ目の写真はユダヤ人街でもあるがわりといろんな人が集まる街のベーゲル屋。ご存知のとおり、いくら不信心の米国人でも(まあ、法定休日ということもあるが)お店は休みにする。だが、ユダヤ人の経営する飲食店などは大繁盛。店の棚の商品は昼までまだ一…
Vos Geven Iz Geven un Nito (וואס געווען איז געווען און ניטא) ダヴィド・メイエロヴィッツ 作 及部泉也 訳 諸君、しばし許されよ わが心の内を打ち明けるを 思いを語るにしろ 痛みを語るにしろ 私は病んでいるのに 人はそれを病だとは言わず 老いからのも…
イーディッシュを手書きするということ このシリーズを長い間ほったらかしていたが、ときどき追加することにした。なーに、しちめんどくさい文法なんぞ、なるべくやらんよ。今日は手書きの紹介だ。どうして紹介するかというと、なかなか印刷物ではお目にかか…
ニューヨーク(といわれるが、正確にはニュージャージー所在)のエリス島(Ellis Island)が使われなくなって約半世紀経つ。今は移民記念館(Immigration Museum)として賑わっている。前の記事にも書いたように、一家総出でめでたく移民できればいいが、ま…
www.youtube.com 歌はシルバ・オクテ(Sirba Octet)のイザベル・ジョルジュ(Isabelle Georges)。フランスのユダヤ音楽団(Klezmer)でイーディッシュで歌っている。このYouTubeの下にある歌詞とは少し違う。一応、訳のようなものを付けておくが骨君に確認…
ゲットー生活と収容所生活の中で生き延びた作者が、ゲットーにいたときに書き土に埋め、解放後に掘り出して出版したイーディッシュ文学。暗いから、救いがないから、読まなくてもいいよ。 ゲットーはポーランドの中央部にある都会ロッジ(Lodz、ポーランド語…
もうメリーHと言う必要もないかもしれない。メリーは去年の今頃亡くなって旦那のレスリーは後を追うように年が明けて死んでしまった。Hはハーシュコウヴィッツ。ホロコースト生き残りであるハンガリアン・ジューの旦那の苗字だ。メリーはルーマニアン・ジ…
すごいなー。ホシクサさんがいっぱいだ。ほんで、こんなトラックもいっぱい。酪農地帯なんやなぁ。ホシクサの色もきれいだよ。しかし、あわてて撮ったのでピンボケ。
次回は西部劇の町のような Virginia City の写真と日系人が戦時中に収容されていた Manzanar 収容所の写真を2回に分けて紹介しよう。ともかく週末土日と月曜日は忙しいので次回は火曜日になるかもしれない・・・が、明日かもしれない。 1枚目は赤・黄・緑…
まっ、パッサディーナ(http://en.wikipedia.org/wiki/Pasadena,_California)は余の地元と言ってもいいのだが、今日は客人を案内かたがた必要な買い物などした。いやいや、高いものはないんだよ。まず、Shaab という日本食レストラン。名前の通りしゃぶしゃ…
Wattsを知らないL.A.人はもぐり。今では黒人地区のL.A.ダウンタウンから南のこの町を知らないL.A.人はいない。1965年の騒動(Watts Riots=http://en.wikipedia.org/wiki/Watts_Riots)と聞けば日本の人も「ああ、あれか」と思うし、通ならワッツ・タワー(W…
このブログの中でも本家のブログの中でも Rosh と記事検索しただけでいくつも出てくるのだが、やはり今年は今年(ユダヤ暦5773年)なので一度しかないから書いておこう。ヨウツベは先ほどリノ市に一人住まいする友人に送った挨拶に入れたものだ。しかし、こ…
先日の夕刻、ヴェンチューラ(Ventura)というロスアンジェルスから北西に70マイルほどの町で(余はここの自称名誉市長)、ニューヨークというパン屋に入った。ご覧のとおりの按配で店先はレストランでもある。食べたのはコーシャ(ユダヤ人推奨)のパストラ…
LACMA(ロスアンジェルス郡美術館)が大石を展示した。何だ、こんなのにカネを使って、というような批判もあった。しかしだ、このために寄付してくれた人がいたんで税金は使っとらん。カネも出さんくせに文句言うな。写真の展示もある。石を持ってヒッチハイ…
101番というハイウェーから30マイル(50キロ)奥山と砂漠に入り込むと、21あるカリフォルニア・ミッションの中でも一番人里はなれたミッション・サンアントニオがある。しかし実際は軍の広大な訓練施設にも囲まれた形になっている。現に、わかっていたとはい…
話と歌はミスマッチだが。笑い話は数々あれど結構よく出来ているのがあるので一つ紹介。ヴァッセルマンの息子が、あろうことか洗礼を受けてクリスチャンになってしまった。ユダヤ人の村では大騒ぎ。ヴァッセルマンを、親として監督不行き届きとか何とか言っ…
まあ、これは初めての経験なんだ。いくらユダヤ人の世界で生きていても意外にイーディッシュが話せるのは少ない。15人ほどが集まっていてイーディッシュで話すグループに飛び込んだ。中心人物に紹介されて自己紹介すると、いろいろな話題が紹介されていくの…
徒歩で十分も掛からないところにベイト・オーラムと門扉に書かれた墓地がある。ヘブル語の意味は「永遠の住まい」すなわち墓地ということだ。墓地全体としてはユダヤ教徒以外にも開放しているのだが、ユダヤ人墓地が大半である。立派なものが多い。おかしい…
かつて、ヨブ記に記されたように、悪魔は神の僕だった。同じように、「死」も神の僕だった。「死」は、とても従順な僕であり、その頃なら、人々は死をある程度予測できた。若くて元気な者が、年老いて弱った者よりも早く死ぬことなどなかったからである。と…
アムステルダムのユダヤ歴史博物館(Joods Historisch Museum)は基本的にはアシュケナージ(東欧系ユダヤ人)のものだが、そこに「弔いの日々(De treurdagen)」というヤン・フォールマン(Jan Voerman)が1884年頃に描いた絵がある。実は彼はユダヤ人では…
この山(5137m; http://en.wikipedia.org/wiki/Mount_Ararat)なら富士山(3776m; http://en.wikipedia.org/wiki/Mount_Fuji)より高いから、日本がすっぽり水に埋まっても、ここに箱舟が辿り着くかぎり溺れない。太宰じゃないが、富嶽なんてダサい山。アル…
野良猫ではないらしい。管理人室の猫。遠くから余を見つけずっと付いてきた。少しだっこして遊んでやった。しかし、帰りはゲートを開けて出ると、淋しそうに見送るだけで付いてはこなかった。柵から簡単に出られるのだが(猫の習性で)出ない。彼(雄猫)が…